ファッション?アート? 機械までも仕込むファッションデザイナー【 フセイン・チャラヤン 】
今回の記事は” フセイン チャラヤン(Hussein Chalayan) ”についてです。彼の作品をいくつか取り上げ、作品の紹介をしていこうと思います。ここで紹介するものがすべてではありませんので、これらの作品以外にもLEDのドレスなど他にも魅力的な作品がたくさんあります。
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チャラヤンは12歳の時にロンドンへ移住し、現地のセントラル・セント・マーティンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインでファッションのデザインを学び、1993年の卒業制作で、「逸脱する流れ」というコレクションを発表しました。

この作品は、数ヶ月間土の中にシルクのドレスを埋め、掘り起こしたものです。その内容は、大きな反響を生み、ロンドンの老舗ブティック、ブラウンズのショーウィンドウを飾ることになり、それが翌年自身のブランドを立ち上げるきっかけとなりました。 彼は、作品をデザインする際、服で“小さな人生“を創出しようとし、そして、着ること、動くことで、その”人生“は更に進化すると考えており、この作品についても様々な出来事を小さな物語に仕立てたものと話しています。この作品の物語の内容は、磁気を持つ服を着たダンサーが登場し、彼らはパフォーマンス終了後、誘拐され、殺され、着衣したまま土に埋められてしまうというもので、それを再現したといいます。
次に1998年の秋冬ロンドンコレクションで「パノラマ」を発表しました。

このコレクションは「語りえぬものは、沈黙すべきである。」というオーストリア人哲学者のルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインの言葉から出発しています。作品を通して、個人が環境にとけ込む過程で、アイデンティティが失われていく様子が表現されています。コレクションでは、鏡が象徴的な位置に配置されていて、ウォーキングしているモデルたちの姿が鏡に映りこみ、歪められ、増殖し、鏡の裏に消えてゆくという印象的な演出でありました。
一方、日本で行われた展示会ではペンキを塗るという行為でアイデンティティが失われていく様子が表現されています。

2000年の秋冬ロンドンコレクションで「アフターワーズ」を発表しました。



・Hussein Chalayan Autumn Winter 2000
このコレクションは難民の苦境や、戦時中に突然我が家を去らなければならない恐怖から着想を得たものです。彼自身と彼の家族を含めたトルコ系キプロス人が、1974年の国が南北に分裂する以前に、キプロスで民族浄化にさらされた過程を考察したことをきっかけに本作品を制作しましたが、このコレクションでは、そうした苦難に直面して家を離れる際に、所有物を隠そうとするのか、あるいはいっしょに持ち去りたいと切望するのか、その心理を探ったものとなっています。部屋に置かれている様々な家具が他のものへと姿を変え、持ち運び可能なものとなっていく様が非常に印象に残るコレクションです。
次に、2007年の春夏ロンドンコレクションで「ワンハンドレッドイレブン」を発表しました。

・Transformer Dress
このコレクションはここ111年間の間に起こった戦争や革命、あるいは政治的、社会的変化を含む様々な出来事に影響を受けながら、ファッションがどのように変還してきたかを探究している。これらの変化は、服を厳密な時系列に沿って並べることで表現されている。画像の部分的に動くメカニカルドレスのシリーズは、コレクションの最後に発表されたものです。このコレクションはある時代のスタイルから次のスタイルへと、抽象的に形を変えていく様を表現している。この作品は、名前のとおり、メカニカルドレスで機械仕掛けの作品となっています。
次に、2008年の春夏コレクションで「リーディングス」を発表しました。

・Hussein Chalayan – Readings – S/S 2008 Paris
このコレクションは、太陽崇拝とセレブへの礼賛から着想されたものだ。この展覧会で出品されたものは、スワロフスキーのクリスタルと200本もの可動式レーザーが組み込まれたドレスにジャケットと帽子というものでした。この技術は彼がここで初めて使用したもので、レーザー光線は、モーターで動くカスタムメイドの留め具で服に固定されています。
今回も最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
【ソース】
大下健太郎『フセインチャラヤン ファッションにはじまり、そしてファッションへ戻る旅』株式会社美術出版社
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