既成概念を覆す ファッション界の破壊の王【 マルタン・マルジェラ 】
今回の記事は” マルタン・マルジェラ(Martin Margiela) ”についてです。彼の作品をいくつか取り上げ、作品の紹介をしていこうと思います。ここで紹介するものがすべてではありませんので、これらの作品以外にも魅力的な作品がたくさんあります。
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1984年からジャンポールゴルチエのアシスタントを経て、翌年にメゾンマルタンマルジェラを設立した。
1988年には、最初の「タビシューズ」を発表しました。

足袋のようにつま先が二つに割れていて、今ではマルジェラの代表作となっており、膝丈やもも丈、ショートブーツ風など、シーズンごとに新作を出しています。崩しの美学や黒への傾斜など、様々な点で川久保 玲からの影響が色濃く見て取れ、1998年春夏のパリコレではコム・デ・ギャルソンと合同でショーを開催しました。この作品は、シューズの先端に着物の時に着用する足袋の形を取り入れることによって斬新なデザインとなっています。
1989年には「割れた皿のベスト」を発表しました。

この作品は実際に割れた古い陶器皿を針金でつないで制作されています。この作品は彼の方向性をはっきりと示すマルジェラ初期の代表作品でもあります。新品の服に採用されるはずのない捨てられる物だった割れた皿を、あえてベストにすることで新たな意味を持つものへと転換し、このベストを着用した際に、針金が肉を突き刺すかもしれない。そうした不安は、日々の生活では問題にもされない衣服と身体との関係性を鮮やかに覚醒させ、着ることへの意味を改めて問いかけます。
このことから、着るという行為は機能性を超えたところに位置する、豊かな人間の行為ではなかったかという事に気づかされます。
また、1989年に発表されたジャケット(画像左)を、2009年には新たに石膏で型取りされた作品を発表するなどもしていました(画像右)。


1990年代初めには、ヨーロッパでのグランジ風なスタイルを牽引し、絶え間なく新しい流行を生み出すファッションシステムに異議申し立てを行い、古着の再生や新しい服の古着風加工など、マルジェラは独自の視点からの服作りを行いました。
中でも斬新だったのが、「カビドレス」の発表です。

マルジェラによる「カビドレス」のインスタレーションは、バクテリアやカビなどの真菌類を植えた服が展示されるというものでありました。菌類がつくりだす色や形は、土台の服を変化させ、そこで服は完成します。この実験的なインスタレーションは最後に燃やされますが、それまでのプロセス全てが作品を構成させています。このインスタレーションからマルジェラは、新しいものにのみ価値を見出す近代の社会に対する批判をしました。
次にマルジェラは「油彩画ドレス」を発表しました。

この作品は、木枠からはずした油彩画のカンバスを洗って柔らかくなめし、ほとんどカットすることなく身体にまとわせるように縫い合わせてあります。使用されている絵画はどこにでもあるようなおそらくは無名の画家による風景画で、海、山、森、家などが描かれており、この作品では、カンバスが身体に合わせた立体的なフォルムを形づくることで、二次元平面上の絵画という枠組みではなくなっています。
2005年には「ウィッグから制作されたトップス」を発表しました。

この作品は、女性用ウィッグをショートカットに短くし、色別に分け、ホルタートップとして作り直されてあります。ウィッグを裏返し、裏側のネット状の構造を表に向けており、服の裏地には手袋用の柔らかな羊革を使用しています。ウィッグにあるゴムなどのディテールはホルタートップを閉めるために残してあり、この作品に使われた合計8点のウィッグには韓国、日本、香港などの様々な国のレーベルを確認することができます。
このように身近な物を用いて製作されたものが「王冠ジャケット」や、「トランプウエストコート」や、「レコードドレス」です。
「王冠ジャケット」は飲料ボトルの王冠を世界中から集めて、手作業で潰して平らにし、樹脂コーティングしてから、金や銀のメタルのリングを用いて互いに連結されています。使用されている王冠は約350個で、世界中の捨て去られるはずの王冠を用いるというこだわりが、この作品の付加価値を高めています。

「トランプウエストコート」は、様々な種類のトランプのセットからカードを抜き出し、まとめてシャッフルし、カードを染めたり、ほぐしたり、アイロンをあててエイジング加工を施しています。そのカードをランダムに敷き詰めながら、ウエストコートの形になるように配置する。出来上がったウエストコートはテイラー用のトルソーに着せ、熱処理を施してフォルムを固定した後、軽く柔らかなベージュのレザーで裏打ちされています。

「レコードドレス」は、シンプルなドレスの上に、33回転のLPレコードや45回転のドーナツ盤レコードが飾られています。レコードディスクはそれぞれカットされ、身体の形状に合わせて熱加工され並べられています。

今回も最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。
【ソース】
http://www.asahi.com/fashion/beauty/TKY200811020128.html
http://yaplog.jp/fische_66/archive/589
Project for BT Special『美術手帖』
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ファッションショーのファッションはおもしろいね。カビはやばい!